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良くある質問

質問1 進化政治学とは何ですか?
まず、「進化政治学」とは私がつくった造語です。英語名では「Evolutionary Political Science」です。このアプローチは、従来、学者によって呼び方が定着しておらず、「Neuro-politics」・「Biopolitics」(『政治と生命科学の学会』)、「Evolutionary approaches to political psychology」(Sidanius & Kurzban、2003年)、「Evolutionary Theory of Political Behavior」(Alford and Hibbing、2004年)、「Sociogenomics」(Carmen、2006年)といった形で学者によってさまざまに表現されています。
「進化政治学」が政治学に寄与している点は2つあります。

一つは、従来の伝統的政治学が政治行動の分析において後天的な変数(収入、所属団体、年齢、学歴)に重点を置いてきたことに対して、「進化政治学」では先天的変数(性別、ホルモン、DNA、人種)が無視し得ないほど重要であると強調している点です。たとえばわたしたちが持つ政治イデオロギーや投票参加(選挙に行くこと)は後天的に決まるよりも先天的に決まっているのではないかと考えています。

「進化政治学」者が強調するもう一つの重要な視座は、現在の政治現象は、現在の政治的ダイナミクスによってされる(「至近メカニズム」)と同時に、狩猟採集時代での政治的ダイナミクスによっても説明されなければならない(「根源的メカニズム」)という点です。これは現在のわたしたちの遺伝子が狩猟採集時代の遺伝子とほとんど変わっていないとの事実に基づいています。たとえばわたしたちが正しいと思っている民主主義制度は現在多くの国々で政治制度として採用されていますが、狩猟採集時代にさかのぼって考えると、非常に違和感の多い政治制度です。もしかすると最適な政治制度ではないかもしれない。もしそうであるならば、民主主義に変わるべき政治制度は何かについて考えてゆかなければならないということになります。このように、現在の政治現象を狩猟採集時代の政治現象までさかのぼって考えるというのがこの新しいアプローチの中心的概念です。

詳しくは、2008年12月の『年報政治学』という政治学会誌に論文が掲載されていますので、お読み下さればと思います。PDFバージョンはこちらをクリック下さい。

(「進化政治学とは何か?」 )

また、進化政治学からみた「選挙」について、日経ビジネスオンラインで連載をしました。2009年6月〜7月に全7回連載しました。ネット上で見ることができますので、ご興味あれば一読下さい。

(日経ビジネスオンライン

質問2 「恋愛学」とは何ですか?
この言葉も造語ですが、日本語名を誰がどのような経緯で作ったのかは存じ上げません。「恋愛科学」と呼ぶ学者もいますが、恋愛を科学する点を強調してのことだと思います。自分はシンプルに「恋愛学」という言葉を使っています。英語では「配偶者選択理論」と言います。英語表記で「Mate Selection Theories」です。

20世紀まではマウスとか鳥とかいった動物の「つがい」の法則を研究することが主流でしたが、特に21世紀に入って人間の間の配偶者選択の法則を研究することが盛んになりました。ニューメキシコ大学のソーンヒルとギャングスタッド博士、テキサス大学のバス博士等がこの分野の草分けです。恋愛学の火付け役は動物学や進化生物学の分野での研究ですが、他の領域でも徐々に説得力のある仮説も増えてゆき、現在では、ほとんどの社会科学においても研究が行われています。社会科学では特に進化心理学が突出していますが、心理学の他に、社会学、経済学、人類学、政治学の分野でも人間の恋愛を、人間が行う最も重要な意思決定の一つと考えて、研究が行われています。

私自身の恋愛学は、学際的で、政治学の他に、上記の分野での仮説を総合的に使っています。恋愛学のうち、当初は五感と恋愛の関係に興味を持っていましたが、最近は、恋愛市場における恋愛のメカニズムや、より実践的なモテ術を研究するようになっています。
質問3 政治学者がどうして「恋愛学」を研究しているのですか?
取材を受けると必ずこのように訊かれます。社会学者が研究しても、人類学者が研究しても同様の質問をされるのではないかと思っています。

「恋愛学」を最初に学んだのは1999年、国連専門機関(IFAD)を辞めて、オレゴン大学の客員准教授としてオレゴンに戻ってからです。オレゴン大学では現在名誉教授となったジョン・オーベル氏とともに共同研究を行っていましたが、博士論文の指導教授でもあった恩師オーベル氏自身が政治学者で恋愛学に興味があったものですから、次第に自分も興味を抱き始めました。彼から薫陶を受けるうちに、恋愛学の可能性に気づき、2000年に早稲田大学に来てからずっと研究を行ってきました。

本として形に表したのは2007年にディスカヴァー21社から出版された2冊の本で、一つが『なぜ日本にはいい男がいないのか? 21の理由』、もう一つが『なぜ、その人に惹かれてしまうのか? ヒトとしての恋愛学入門』です。

そもそも、現在の少子化問題の根底にあるのは、若者の恋愛がうまくいかないという側面もあるはずです。政治問題である少子化対策は恋愛問題を通じて解決しなければならないと思っています。
質問4 人間の恋愛を「科学的に分析する」ことはできるのですか?
しばしば「人間の恋愛は不確定要素が多く、科学的な分析はできない」というような批判を聞きます。そんなことはありません。人間の恋愛は一定の法則がたくさん存在しています。特にこのような批判は恋愛中の方からよく聞きます。自分の恋愛を特別と思いたい気持ちは分からないではありませんが、残念ながら(?)、どんなに激しい恋愛でも特異な恋愛でも、科学的に解明ができる一定の法則があるのです。たとえば、「恋愛は見かけ」とか言いますが、実際には、「視覚的要素」は五感のうちの一つに過ぎず、恋愛では、嗅覚、聴覚、味覚、触覚も駆使して恋愛を行っています。「五感と恋愛」は、恋愛を科学的に分析する上で重要な視座です。恋愛を科学的に研究する上では、視覚以外の感覚で異性を判断する基準も解明しなければならないということです。

また、恋愛は経済学や経営学の視点からも分析可能です。最近、このアプローチに興味をもち、ジャパンビジネスプレスのサイトで連載されております。ご興味あれば、ご一読下さい。現在、最も力を入れている分析手法です。
(JBプレス サイト)
質問5 なぜ国連職員を辞めたのですか?
この質問もしばしは受けます。国連関係の仕事にはすでに10年くらいやりましたので、時間の制約がより少ない研究職に戻ることを選択しました。2000年のことです。20年近く住んだ海外から祖国日本に戻ることにやや抵抗がありましたが、現在では良い判断をしたと思っています。国連職員として数十ヶ国、訪問しましたが、東京は、世界の都市の中でも最もすばらしい街の一つだと思います。

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