まず、「進化政治学」とは私がつくった造語です。英語名では「Evolutionary Political Science」です。このアプローチは、従来、学者によって呼び方が定着しておらず、「Neuro-politics」・「Biopolitics」(『政治と生命科学の学会』)、「Evolutionary
approaches to political psychology」(Sidanius & Kurzban、2003年)、「Evolutionary
Theory of Political Behavior」(Alford and Hibbing、2004年)、「Sociogenomics」(Carmen、2006年)といった形で学者によってさまざまに表現されています。
「進化政治学」が政治学に寄与している点は2つあります。
一つは、従来の伝統的政治学が政治行動の分析において後天的な変数(収入、所属団体、年齢、学歴)に重点を置いてきたことに対して、「進化政治学」では先天的変数(性別、ホルモン、DNA、人種)が無視し得ないほど重要であると強調している点です。たとえばわたしたちが持つ政治イデオロギーや投票参加(選挙に行くこと)は後天的に決まるよりも先天的に決まっているのではないかと考えています。