毎年春学期                                                                                  早稲田大学国際教養学部

オープン教育センター提供科目                                            教授 森川友義

2単位科目、水曜日3限 

 

『恋愛学入門』

(Introduction to Mate Selection Theories)

 

○講座の目的

この講座は『恋愛学入門』と題し、恋愛を科学的に分析するものである。進化生物学や進化心理学の分野においては恋愛及び配偶者選択をテーマにした研究が盛んに行われているが、それらを総合すると一つの講座として体系的に学ぶに充分な域まで到達してきた。進化生物学、遺伝学、心理学、経済学及び政治学の分野において集められたデータを中心に、『五感と配偶者選び』、『恋愛市場の原理』を主な柱として解説する。講義の後半においては、日本人が恋愛することの難しさについても社会学の立場から言及する。

なお、最高の美食家が最高の料理人とはならないのと同じように、この講座を受講したとしても、自分が最高の恋人になれるわけではなく、なるようには皆さん自身の努力が必要であることを付記する(ただし、最高の恋人とは何か、どうやったら見つけることができるかはわかる)。講義内容は次の5つに大別することが出来る。

第一部 進化論と恋愛学(進化論的見地)

第二部 五感と恋人選び(生物学的見地)

第三部 恋愛市場の分析(経済学的見地)

第四部 恋愛の理想と現実(社会学的見地)

第五部 何をすべきか?(政治学的見地)

 

○       試験の配点

学業成績は以下の要領で採点される。

       期末試験              90%

       出席                     10%

ただし、授業参加や提出物等によって加点制度あり。

 

○教科書 (生協にて販売中)

O『なぜ、その人に惹かれてしまうのか? ヒトとしての恋愛学入門』(森川友義著、ディスカヴァー21社携書)

O『なぜ日本にはいい男がいないのか? 21の理由』(森川友義著、ディスカヴァー21社)

 

○注意事項

Oこの講座はヒト(ホモ・サピエンス)の恋愛や結婚について科学的に検討するものであり、人間を動物の一つとしてとらえていることを充分に銘記して頂きたい。

Oまた授業では積極的に発言をお願いしたいが、その言動についてはハラスメントに当たらないように充分注意して頂きたい。

 

○参考文献(順位不同です。)

 

2        中橋孝博 2005年。『日本人の起源』。講談社選書。

2        埴原和郎 1990年『日本人の骨とルーツ』。角川ソフィア文庫。

2        小田亮。2002年。『約束するサル 進化からみた人の心』。柏書房。

2        蔵琢也。2002年。『遺伝子は美人を選ぶ』。サンマーク出版。

2        藤田徳人。2003。『想いが全てかなう「恋愛科学」』。講談社+α文庫。

2        山元大輔。2001年。『恋愛遺伝子 運命の赤い糸を科学する』光文社。 

2        アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ。藤井留美訳。2000年。『話を聞かない男、地図が読めない女 男脳・女脳が「謎」を解く』。主婦の友社。

2        ジェフリー・F・ミラー。長谷川眞理子訳。2002年。『恋人選びの心Ⅰ及びII 性淘汰と人間性の進化』。岩波書店。

2        デヴィッド・M・バス。狩野秀之訳。2000年。『女と男のだましあい』草思社。

2        ヘレン・E ・フィッシャー。伊沢紘生、熊田清子訳。1998年。『結婚の起源 女と男の関係の人類学』。どうぶつ社。

2        ロビン・ダンバー。松浦俊輔、服部清美訳。1998年。『ことばの起源 猿の毛づくろい、人のゴシップ』。青土社。

2        ロビン・ベイカー。秋川百合訳。2003年『精子戦争―性行動の謎を解く』河出書房。

2        山田昌弘。2004年。『希望格差社会』筑摩書房。

2        酒井順子。2003年。『負け犬の遠吠え』。講談社。

2        辻公美監修。高岸裕漫画。1992年。『HLAってなに?』。日本医学館。

2        ジェイムズ・M・ダブス、メアリー・G・ダブス。北村美都穂訳。2001年。『テストステロン 愛と暴力のホルモン』。青土社。

2        デズモンド・モリス。日高敏隆訳。1979年。『裸のサル』。角川文庫。

2        ナンシー・エトコフ。2000年。木村博江訳。『なぜ美人ばかりが得をするのか』。草思社

 


コース スケジュール

 

日時

テーマ

教科書

第1回目

恋愛学とは?

 

第2回目

ホモ・サピエンスの進化と恋愛

『なぜ、あの人~』第1章

第3回目

恋愛感情とは何か?

根源的メカニズムからみた理想的異性

同上

第4回目

恋愛と視覚(1) 

日本人起源論、テストステロン

『なぜ、あの人~』第2章

第5回目

恋愛と視覚(2)

エストロゲン、シンメトリー等

『なぜ、あの人~』第3章

第6回目

恋愛と嗅覚

『なぜ、あの人~』第4章

第7回目

恋愛と聴覚 (モテ戦術)

『なぜ、あの人~』第5章

第8回目

恋愛と味覚

恋愛と触覚

『なぜ、あの人~』第6章~第7章

第9回目

ディベート

①『女性が男性を選ぶとき、何が最も大切か? 収入か、優しさか、性格の一致か?』

 

②『結婚は、見合い結婚か、恋愛結婚か』

 

発表者

1 収入

2 優しさ・思いやり

3 性格の一致

 

1 見合い結婚

2 恋愛結婚

第10回目

市場経済メカニズムと恋愛市場の分析

『なぜ、いい男~』全章

第11回目

恋愛は簡単なのか? 

それとも難しいのか?

『なぜ、いい男~』全章&

『なぜ、あの人~』第8章

第12回目

「なぜ、日本にはいい男がいないのか?」(早稲田大学バージョン)

『なぜ、いい男~』全章

 

第13回目

全講義のまとめ

 

第14回目

期末試験

教科書2冊と講義

第15回目

期末試験返却、恋愛学の今後